前回は腰痛の定義や有病率、原因、画像所見との関係について解説しました。本記事では、腰痛を診るために大切な考え方や評価・治療の考え方について解説します。腰痛の理解を向上させるために、ぜひ参考にしてください。
腰痛を診るために大切な考え方
画像での問題=症状と関連するとは限らない
診断名=症状とは限らない
診断名を治療することはできない
画像の問題も考慮しつつ理学療法士が評価をして痛みの原因を探す
臨床では画像での問題から診断名がつけられることが多いので、診断名から治療内容を考えてしまいがちです。しかし、理学療法士による評価で痛みを出している組織を明確にすることが治療をするうえで大切になります
痛みを出す組織とは?
筋肉・筋膜
神経
椎間板
椎間関節
仙腸関節(関節、靭帯)
痛みを出している組織は何なのかを見つければ、治療方針は決めやすいですよね!
評価の流れと各論について次に説明します
評価① ~痛みを出している組織を探す~
1.痛みを出している組織を推測
問診や画像検査を通じて、どの組織が痛みを引き起こしているかを予測
2.痛みが出る動作を見つける
どの動作で痛みが生じるかをはっきりさせる
3.痛みが軽減する動作や徒手的に負荷を軽減してみる
痛みが軽減したら痛い組織がはっきりする
痛みを改善する方法がわかる
痛みを出している組織を特定するのが「組織学的評価」と言います
(成田崇矢の臨床:腰痛より引用)
評価② ~組織にストレスを与えている原因を探す~
評価①で痛みを出している組織を特定しました。痛みを出している組織にストレスを与えている原因を解決できれば治療方針は決めやすいです
1.アライメント、歩行、動作から推測する(力学的評価)
2.可動域、筋力、筋肉の硬さから評価(機能的評価)
3.ストレスがかかる原因となっている部分をお試しで治療する
お試し治療で痛みが改善すれば、効果あるので治療内容は決まりますね!
これらの評価を「力学的評価」、「機能的評価」と言います (成田崇矢の臨床:腰痛より引用)
これらの評価から考えることによって根本の原因から痛みを改善させることができます
治療
組織的評価と力学的評価、機能的評価から統合と解釈して痛みの組織とその原因がはっきりすれば治療は何を行っても良いと考えています
例:体幹伸展で腰が痛い
組織学的評価:椎間関節の痛み
力学的評価:立位でも歩行でも骨盤前傾・腰椎前弯が大きい
機能的評価:大腿直筋が硬い
統合と解釈:大腿直筋が硬い→骨盤前傾に引っ張られる→腰椎前弯する→椎間関節に負担
このケースだと大腿直筋の硬さが取れればよいのでマッサージ、ストレッチ、物理療法などなんでも良いですよね?
評価がきちんとできていれば、治療方針は明確になりやすいです(ここが難しいのですが・・・)
最後に
経験年数が浅いうちは腰部脊柱管狭窄症と言えば「この治療」、「このテクニック」となりがちですが、まずはきちんと評価をすることが重要です
次回は、問診について解説していきます
問診を丁寧に行うことで何が痛みを出しているのかを予測しやすくなるので非常に大切です
ご質問や疑問があれば、遠慮なく問い合わせてくださいね!